私の出会った人々

「教え子」

 先日、「山口先生、12月にリーガロイヤルホテル大阪で巡回展をするのでぜひ来てくれませんか」といううれしいメールを貰った。「必ず行くよ。連絡ありがとう」と即座に返信。

 奈良県五條市立五條中学校教諭時代の教え子の片岡司君からだった。今や彼は平成琳派として名を馳せる風景写真家。高野山金剛峯寺や明治の迎賓館として知られる長浜の慶雲館に作品を奉納し、TVでも活躍している。慶雲館では、明治天皇玉座の間に彼の作品は展示されている。東京の新宿での個展を無事終えたばかりの彼の一服の絵画を彷彿させる美しいアートのような写真には心を奪われる。ネット上の彼をみて屈託のない好奇心旺盛な笑顔は30年前のままだなと微笑んでいる。

 巡回展に出かける12月の大阪は華やかなクリスマスモードで包まれていることだろう。平成30年冬の夜、当時京都府立与謝の海支援学校副校長だった私は、出張先の大阪市内のホテルの部屋で脳幹部の梗塞で倒れて救急搬送された。同市内の病院で3カ月寝たきりとなり生死の境を彷徨ったのが遠い昔のことのようだ。ちょうど同じクリスマスシーズンだったと感慨深い。生きているからこそ再会も叶うのだとつくづく思う。